21歳

YouTubeで「坂口安吾」と検索したら、ラジオか何かで喋っている音声があって、想像通りの神経質な口調に思わず笑ってしまった。

理屈論を書く人間は、こういう喋り方になるらしい。私もこのまま引きこもって屁理屈ばかり並べ立てていたら、こんな口になるのだろうか。

今年は坂口安吾が死んでから、ちょうど65年目である。

 

 

遂に書店のバイト面接を受けてきた。

今まで落ちたバイトと辞めたバイトと、全部省いて残った職種は書店だけである。好きな本と作家くらいは聞かれると踏んでいたのだけれど、「自己紹介お願いします」を皮切りに怒涛の質問責めが始まり、面食らってしまった。

周りからどんな人だと言われるか、高校では何をしていたのか、現在は何をしているのか、将来はどうなりたいのか、エトセトラ、エトセトラ。

「友達には "正常と異常に片足ずつ突っ込んでるね" って言われました。好きな本は坂口安吾と綾辻行人です。高校では演劇をやっていました。今は舞台とかライブハウスとかに出ています。2歳から日舞をやってます。将来は在宅で絵と文を書いていたいです。」

一貫性が無いにも程がある。何をやりたいのか分からないし、何が好きなのかも分からない。

 

結局、店長さんの感想は「色んな本を読むんだねえ」と、ただそれだけであった。

私は完全に自分を見失ってしまって、自分は一体、何をしてきて、これからどうやって生きていくのかと独り悶々としながらも、やっぱり帰る場所は、今のところ、この6帖一間しか無いのである。

 

21歳になりました。

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