9月24日(現実味と離人症)

20歳を過ぎてから、ホラー映画を1人で観られるようになった。子どもの頃は現実との区別がつかないから、自分が画面の中と同じ世界線にいる気でいたけれど、ひとまず、創作は創作として鑑賞出来る大人になった。今なら、ITのピエロが実在しないモンスターだと認識できるし、濃霧に包まれた街で巨大な虫に襲われる恐怖に駆られることもない。

 

「自分が何者であるか」、これは一生の課題である。私の感覚では、自分とは "思考している自分" であって、肉体の方ではない。肉体は自分とは別個の、他人のものを借りて操縦している感覚で、肉体の見た目や能力が、自分の価値とイコールになるとは余り考えられない。この感覚は "離人症" と呼ばれたりもする。

だから、例えば坊主にしたり、刺青を入れたり、ピアスを開けまくったとしても、他人の身体で無責任に遊んでいるような感覚である。あくまで感覚であって、考え方ではない。そう感じるから、結果的に「自分と肉体は別々のものだ」という考えになるわけで、離人症が離人 "症" たる所以である。

外見の醜美やアクセサリーは、外から見た他人が評価する私の "入れ物" であって、そんなことよりも、今まで自分が思考してきた価値観や考え方に是非を付けられる方が、私には、よっぽど恐ろしいのである。

secret.[click].