1月16日(廃墟と髭)

偶然通りがかった廃墟の庭中央に、網を掛けられ、落ち葉の積もった灯籠がポツンと放置されていて、ぎょっとした。

見渡しても池などは見当たらず、照らす為だったのか単なる飾りだったのか、用途が分からない。

神聖そうに見えるものが手入れもされずに放置されているのは、何の曰くが無くとも不気味である。

  


小学生の頃、「髭は何のために生えるのか」と学校中の先生達に聞き回っていたなと思い出した。

今改めて考えたら、髭は、例えばライオンで言うところの "立髪" だろうという結論に着地した。顔周りに毛が栄えている方が、より強く雄らしく見えるというのが、恐らくは自然界の摂理なのである。

毎朝髭剃りに勤しむ人間の男性諸君は、生物的な雄から自ら脱却しようとしている訳だし、そこまでしておいて、頭部の毛が乏しくなることには異常に恐怖するというのは、どうにも筋が通っていないような気もするが、社会生活において髭を剃ることを迫られる人間男性に唯一残された雄としての威厳は、100%髪の毛に依存しているのかも知れない。

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