4月10日(ワイシャツと運命)

学生時代、正装といえば白ワイシャツで、学校の式典や冠婚葬祭、アルバイトでさえユニフォームは白ワイシャツが基本であった。卒業してみると、白ワイシャツを着ているのは会社務めのサラリーマンだけである。

"白ワイシャツ=仕事か冠婚葬祭" だから、いつか着るだろうと取っておいていた制服の白ワイシャツはタンスの底に眠り続け、私服で着るなんてことは先ずあり得ない。

アニメ等で日常的に白ワイシャツなキャラクターが登場するが、現実では相当な変人に見えるはずである。

 


偶然出会した赤の他人に思わず「運命的だ」と感じる瞬間は度々あり、例えばエレベーターに乗り合わせて、お互いに同じ階のボタンを押そうとした瞬間などである。

夕暮れ時、大通り沿いのスーパーマーケット、歩道から窓ガラス越しに混み合う店内を覗きながら歩いていると、中ではちょうど買い物終わりの女性が袋を担いだ所で、そのまま出口に向かって歩き出した。私と同じ方向に、同じ速度で歩くから、私達は店舗のガラスを挟んで並走している感じである。

スーパーの出入り口まで来て、女性が出てきて私が入れ違いに入店する。数十秒一緒に歩いただけであるが、それが何となしに運命的な気配がして、無論、運命なんちゃらを感じたのは私だけであって、女性は私に見向きもせずに夕焼けの街へと消えて行った。

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