「フランケンジョーズ(2016)」を観た【サメ映画レビュー】

※冒頭から「サメのような形の巨大モンスター」が登場するが、中盤以降は手足が生え歩き出します。うっかり「サメ映画」と信じて観始めると混乱するので注意。

 

サメ映画には、CGも演出も凄い、とんでもなく面白いものと、CG・演出・カメラワーク・シナリオ・演技、全てが低レベルなクソ映画の2通りしか無いのだけど、この「フランケンシャーク」はどちらにも当てはまらない、大変珍しいタイプでした。

メインであるサメは、「言われてみればサメかもしれない」くらいの見た目なのだけど、だからと言って他のクソサメ映画同様、飛び抜けて出来が悪いとか、全くリアルじゃないとか、全然画面に映らないという訳ではない。初めて見るタイプの気持ち悪い見た目で驚きがあるし、特撮の敵と同じくらいのクオリティではある。

実際、冒頭シーンでサメがアップになった瞬間、びっくりして吹き出してしまった。問題なのは、サメ本体の出来に反して、それを動かすCGが全くの素人レベルというところで、これは確かにZ級と言われても仕方が無い。

 

ストーリーは、「フランケンシュタインの研究をしていた科学者が、不死身の最強人間を作る為に先ずはサメで実験してみた」だと思うが、一応、筋も理屈も通っているし、ガバガバになりがちな部分は、登場人物達が科学者に質問してくれるので、疑問は綺麗に解決される。

冒頭で説明した「中盤から手足が生える」のも、「なぜ生えたのか・なぜ陸を目指したのか」がハッキリしているので、ただただ感心して観ていられる。

 

レビュー欄には「ゴミ」「5分が限界」等々、辛辣なコメントがずらりと並んでいるが、今一度、最後まで観た上で「これは本当にクソサメ映画なのか」と考えてみて欲しい。

他には無いサメの設定・見た目、考え込まれたストーリー、船長が終始着ているJAWS Tシャツ。

企画チームが、いかにサメ映画を愛し、新しいサメ映画を作ってやろうと情熱を注いだのか、細部から痛いほどに伝わってくる。

 

他の映画人から軽蔑されたかもしれない。

「フランケンシャークなんて馬鹿げている、もっとまともな映画を撮ったらどうだ」

そんな事を言われても、「未だ誰も見たことがないサメが人を喰うシーンを撮りたい」、その情熱だけで何十時間、何百時間と内容を詰めに詰めて、ようやく映画としての形に作り上げた。

技術スタッフも役者陣も、初めて映画を作る人間ばかり。出してみれば世間の反応は最悪。Z級のレッテルまで貼られた。サメ映画への愛と情熱を使い果たした企画チームは思っただろう。

「ユニバーサル・スタジオに入社したい」と。

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